1893年に創業
国内シェアは8割強
ツムラは、漢方薬の原料である生薬の栽培・調達から、研究開発、製造まで一貫して自社管理し、高品質な漢方製剤を販売している。漢方薬には医師の診察のもと処方される「医療用漢方製剤」と市販されている「一般用漢方製剤」があり、同社では医療用漢方製剤を主力に展開する。
2024年3月期の連結業績は、売上高1508億4500万円(前期比7・7%増)、営業利益200億1700万円(同4・3%減)。売上構成比は、国内事業のうち医療用医薬品が83・8%、一般用漢方製剤等が3・8%と、中国事業の生薬プラットフォームが12・4%となる。
23年度の医療用漢方製剤の市場規模は、薬価で算出した金額で1875億円。そのうち同社が8割以上のシェアを占めるトップメーカーだ。現在日本で健康保険が適用される医療用漢方製剤148処方のうち、129処方を同社が販売している。
同社は1893年に津村順天堂として創業。初代津村重舎氏が、婦人薬の生薬製剤「中将湯」を販売したのが始まりだ。漢方医学は中国から伝来し、日本で独自に発展した伝統医学だが、明治以降は西洋医学が台頭し衰退していた。
漢方薬は、天然物由来の多成分系複合製剤という特性から科学的な解明が困難とされてきたが、二代目の重舎氏は「漢方は非科学的ではなく、未科学的である」という信念を持ち、有効性や安全性を証明する研究開発と普及活動に尽力を続けてきた。
1976年には同社の医療用漢方製剤33処方が薬価収載、87年には追加収載され、現在販売する129処方が保険薬に指定された。
「日本の医薬品メーカーは新薬メーカーとジェネリックメーカーの2つに大きく分かれています。メーカーは多大なコストをかけて新薬を開発し、特許が切れたらジェネリックが参入するという構図ですが、漢方薬には特許という概念がなく、我々は独特なポジションにいます。当社では87年に薬価収載された129処方を今なお販売し続けています。漢方は自然由来のものであることから、日本の新薬ルールの中で新たに開発をするのは極めて難しく、参入障壁は非常に高い」(半田宗樹取締役CFO)
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