防錆など表面処理剤製造の国内最大手 日本パーカライジング 【4095・プライム市場】

日系自動車の車体防錆剤、世界で高シェア
リージョナル経営を加速し海外比率50%へ

日本パーカライジングは、「あらゆる表面をカガクで変える」をスローガンに、金属などの表面処理剤の製造・販売などを展開する国内最大手だ。同社調べによると、全世界で生産される日系自動車の車体の防錆剤ではシェア7割という。2024年3月期の売上高は前年比5%増の1250億8500万円、営業利益は同20・4%増の152億5800万円を上げた。24年6月27日付で里見多一氏が会長兼社長から会長となり、新社長には海外事業に長年携わってきた青山雅之氏が就任。「リージョナル経営」を推進させ、海外事業を加速させる。
日本パーカライジング-青山 雅之・里見 多一

青山 雅之・里見 多一(あおやま まさゆき・さとみ かずいち)

社長・会長

■青山 雅之社長(左)/1963年生まれ、神奈川県出身。86年、明治大学工学部卒業後同社に入社。2011年国際本部国際企画室長、18年経営企画本部国際企画部長を経て、22年執行役員グループ統括本部長兼管理本部長。24年6月27日付で代表取締役社長執行役員に就任(現任)。 ■里見 多一会長(右)/1947年生まれ、東京都出身。74年早大院理工修了、新日本製鉄に入社。85年日本パーカライジングに入社。2005年に代表取締役副社長、11年に代表取締役社長、22年に代表取締役会長兼社長、24年6月27日付で代表取締役会長に就任(現任)。

「表面改質」の化学メーカー
防錆・潤滑・親水などニーズ拡大

同社は金属などの表面に薬剤の塗布などを施し、機能・品質を上げるための「表面改質」に取り組む化学メーカーだ。自動車をはじめとして、スマートフォン、エアコン、医療機器、航空機など、ありとあらゆる製品に同社の技術が生かされている。

2024年3月期の売上高は前年比5%増の1250億8500万円、営業利益は同20・4%増の152億5800万円。主要顧客の生産回復により、連結ベースでは過去最高となる最終利益131億9400万円を達成した。

かつては防錆性、潤滑性など、主に金属の長寿命化やエネルギー伝達に貢献するような機能が求められていたが、最近は親水性、導電性、接着性など表面改質に求められる機能の幅は限りなく広がりを見せている。

「例えばEV車ではモーターがガソリン車の約3倍高速回転しますから、部品の耐摩耗性や、表面処理による軽量化が求められています。またエンジン音がなくなり“かじり音”が目立つようになったことでノイズ軽減加工、迷走電流が発生してOA機器に悪影響を及ぼさないための絶縁性、と新しいニーズが生まれています」(里見多一会長)

セグメントは薬剤の製造・販売を行う「薬品事業」、前処理/電着塗装装置、排水処理設備などの製造・販売を行う「装置事業」、表面処理の加工サービスを受託で請け負う「加工事業」の3つで、売上構成割合は薬品事業が45%、装置事業が15%、加工事業が38%である。

「当社の薬剤はすべてテーラーメイドです。納品した薬剤をお客様が最適に使いこなせることを重視しており、濃縮液の場合はお客様の工場で薄める水の成分まで考慮するほどこだわって作っています」(青山雅之社長)

また設備が十分に整っていない顧客には設備の販売や加工の受託サービスまで提供し、徹底した「顧客志向」を貫き、多くの企業から高い信頼を得ている。

「一番多いお客様はTier1、Tier2、パワートレイン関係など自動車の部品メーカーで全体の4割、鉄鋼のカテゴリーに含まれる自動車製造の工具なども含めると、自動車に何らかの関連がある製品は全体の6割になります。それ以外で多いのは建機、産業機械。薬品事業では国内の大手企業、装置・加工事業では中小企業のお客様が多いです」(里見会長)

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