4年で売上高は2倍
営業利益は3・5倍
同社の2024年12月期の業績予想は、売上高420億円(前期比7・3%増)、営業利益87億円(同9・4%増)。20年12月期から比較すると、売上高は初年度の216億6400万円から約2倍に、営業利益は24億6900万円から約3・5倍になる(図1)。
1935年創業の日置電機は、長野県上田市に本社を構える電気計測器メーカーだ。創業以来、電気計測器一筋で事業を展開し、製品ラインナップは実に300種類を超える。研究開発から生産ライン、電気工事のフィールドメンテナンスまで、あらゆる業種で活用されている。
同社は主力の電子測定器の中でも、EV(電気自動車)向けバッテリーテスターでよく知られているが、6つの分野で事業を展開しており、バッテリーテスターはそのうちの一つに過ぎない。製品別売上構成比は、電子部品・バッテリーの検査や品質評価に使われる「電子測定器」が54・6%。電気工事・設備の保守点検用の「現場測定器」が19・6%、電気機器の開発や設備の異常監視用の「記録装置」が13・9%、スマートフォンや自動車などに使われている電子回路基板などを検査する「自動試験装置」が7・4%(図2)。計4つの製品群を展開し、さらに電子測定器は、「バッテリー」「デバイス」「エネルギー」の3つに分類している。
「我々のポートフォリオの中で電子測定器は売上が圧倒的に大きいですが、どのような製品があり、どのようなお客様がいるかが分かりづらい状態でした。そのため、電子測定器の分類を21年からバッテリー、デバイス、エネルギーの3つに分けて説明を始めました」(岡澤尊宏社長)
同社の業績が21年、22年に急伸した背景には、世界的な脱炭素化の流れの加速がある。特に国策でEVシフトを推進した中国での売上高は、2年間で2倍以上に増加。その実績から、当時は「EV関連株」「中国関連株」と言われていた。しかし、その後バッテリー需要が鈍化する中でも、同社の23年の中国売上高は前年と同水準を維持し、今期以降も増収を計画する。
「今はEVが先進国で踊り場に入ったため『大丈夫か』と言われますが、既にバッテリーが停滞するのは分かっていたので、22年春頃から新エネルギーの市場を開拓していました。エネルギー市場は裾野が広く、多種多様なお客様がいます。例えば太陽光パネルに付けるパワーコンディショナーは、中国企業が強く競争がすでに始まっていますが、当社はシフトができたため23年度の売上はほぼ横並びとなりました」(同氏)
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