カメラレンズで地位を確立
開発から販売まで一貫体制
同社の2023年12月期連結業績は、売上高714億2600万円(前期比12・6%増)、営業利益136億700万円(23・3%増)。事業の3本柱は「写真関連事業」「監視&FA関連事業」「モビリティ&ヘルスケア、その他事業」。主力は売上の74%を占める「写真関連事業」だ。ミラーレスカメラ用レンズや一眼レフカメラ用交換レンズを、自社ブランド及びOEMで生産し販売している。同事業の売上高530億円の内訳は、自社ブランドが328億円、OEMが202億円と、他社カメラメーカーからの受注生産も4割近く占める。
同社の強みは、代名詞でもある「高倍率ズームレンズ」に象徴される光学技術だ。
「一番の強みは球面レンズの加工です。自社で内製していますので、他のカメラメーカーさんの開発キャパシティを補完する意味で、我々の存在価値があります。光学設計もメカ設計も非常に複雑な構造になりますので、その設計力はタムロンの魅力の一つ。カメラメーカーさんのリソースで設計できないようなレンズの開発ができます」(桜庭省吾社長)
1950年創業の同社は、双眼鏡レンズから始まり、その後写真レンズに参入した。世界で初めて一眼レフカメラ用マウント交換式Tマウントを開発し、70年代にはTマウントを進化させたタムロンアダプトールレンズ群を展開。以来、写真関連事業が同社の主力事業となる。92年に一眼レフ用高倍率ズームレンズAF28─200mmを発売し、これを皮切りに、高倍率、小型・軽量化、新機能搭載を次々と実現し、現在の地位を確立した。
2000年代前半にはコンパクトカメラ用レンズが、2010年半ばにはデジタル一眼レフカメラ用交換レンズの需要が売上をけん引した。近年はミラーレスカメラ用交換レンズや車載用レンズが売上をけん引している。
同社の高品質かつ高収益の製品を支えているのが、研究開発から企画、設計、生産、販売、サポートまで一貫した生産体制だ。生産拠点は青森をマザー工場に、大規模生産拠点の中国やベトナムへ製造技術を提供する世界3極生産体制で、小ロットから大量生産まで対応している。
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