デジタルエンタメが売上7割
「みてね」とスポーツも伸長
MIXIと聞くと、30代以降は2000年代にSNSブームの火付け役となった「mixi」を、ゲーム好きや若い世代なら「モンスターストライク」(以降モンスト)を想起するのではないだろうか。
1997年創業の同社は、2004年にリリースしたSNS「mixi」の驚異的ヒットにより、06年にはマザーズに上場を果たした。しかし「mixi」はその後Twitter(現:X)やFacebookの台頭により下火に。苦境の中、13年に発表したスマホゲーム「モンスト」が大ヒットし、同社の救世主となった。同社では現在、次の成長ドライバーとしてスポーツ事業を据えている。
現在のセグメント別売上高は、スマホゲーム等の「デジタルエンターテインメント」約7割、SNS運営等の「ライフスタイル」約1割、「スポーツ」約2割、その他「投資」で構成される。
主力のデジタルエンターテインメント事業では、「モンスト」を中心にスマホゲームを提供。またマーチャンダイジングやリアルイベント、動画・アニメの配信、異業種とのコラボレーションなど、メディアミックスを展開する。
20年10月から23年10月までの国内モバイルゲーム収益で2位に位置する「モンスト」はMAU(Webサイトやアプリ、各種オンラインサービスで、特定の月に1回以上利用や活動があったユーザーの数)では580万人超えで2位以下と倍以上の差がある(※)ロングセラーの大人気タイトルだ。
23年3月期のセグメント売上高は1043億7400万円、セグメント利益は435億200万円で同社の大きな収益源となっている。
祖業のライフスタイル事業では、子どもの写真・動画共有アプリ「家族アルバムみてね」(以降みてね)をはじめ、SNS「mixi」、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」、会話AIロボット「Romi」などを展開。中でも「みてね」は15年のリリース以来伸び続けており、前期は海外ユーザーの伸びが大きく牽引し、国内外でユーザー数30%増の急速な伸長を遂げている。同セグメント売上高は116億6300万円、セグメント損失が8400万円となっている。
スポーツ事業は、観戦事業と公営競技事業の2軸で展開。観戦事業では、プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」とプロサッカークラブ「FC東京」の運営、スポーツ観戦に特化した店舗の検索・予約サービス「Fansta」の提供などを行なっている。
公営競技事業では、ネットやアプリで競輪・オートレースのベッティング(賭け)を楽しめる「TIPSTAR」や、グループ会社が運営する「チャリロト」など、車券販売プラットフォームを展開。同ビジネスは地方自治体から公営競技の投票権販売委託を受け、販売手数料を収益とする。「TIPSTAR」は他の人の予想を参考に賭けることができる「のっかり」機能や、友人やコミュニティと繋がりながら楽しめるSNS要素があり、仕様やデザインにはゲームの要素が散りばめられている。
また、国内最大級の競馬メディア「netkeiba.com」やベッティングサービスへの送客機能となる「netkeirin」といった情報メディアもグループで展開。20年からは岡山の玉野競輪場をはじめ、競輪場運営事業にも着手している。
スポーツ事業は、23年3月期にセグメント売上高が前期比54・8%増の28億6430万円、セグメント損失が11億円となった。
「当社のテーマはずっと『コミュニケーション』にあります。『モンスト』も、ゲームではなく『コミュニケーションの一つ』という認識です。SNSもゲームも『つながる場』を提供し続けてきました。スポーツも同様で、コミュニケーションを豊かにしていくという意味で、SNSもゲームもスポーツも私たちの営みとしては変わりません」(木村弘毅社長)
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