相鉄ホールディングス 【9003・プライム市場】

東急線相互直通開始で更なる沿線価値向上へ
最大のプロジェクトは横浜駅西口再開発

相鉄ホールディングスは、神奈川を中心に運輸、不動産、流通、ホテルなど幅広い事業を展開する。祖業の運輸事業では、神奈川県横浜市を中心に県央の藤沢市、大和市、座間市、海老名市にわたる私鉄路線「相模鉄道(相鉄線)」とバス路線を網羅。沿線人口は約130万人と、岩手県の人口に匹敵する。同社は2019年11月にJR線、23年3月に都心を走る東急線との相互直通運転を開始し、注目を浴びている。さらなる沿線価値の向上を目指す同社滝澤秀之社長に話を聞いた。
相鉄ホールディングス-滝澤 秀之

滝澤 秀之(たきざわ ひでゆき)

1959年10月生まれ、長野県出身。84年、横浜国立大学経済学部卒業後、相鉄ホールディングス入社。2007年、相鉄ビルマネジメント取締役。08年、同社常務取締役、10年、専務取締役に就任。12年、相鉄ホールディングス取締役。16年、相模鉄道取締役社長。2019年、相鉄ホールディングス代表取締役社長に就任(現任)。

神奈川県地盤の私鉄企業
売上高の35%は流通事業

持株会社である同社の傘下には、相鉄線などの運輸事業の他に流通事業、不動産事業、ホテル事業がある。運輸事業は売上の13%にすぎず、全体の4割を占めるのは流通事業だ。この事業では、沿線においてスーパーマーケット「そうてつローゼン」を51店舗出店している。25%を占める不動産事業は、沿線はもちろん都内、海外の不動産開発を行い、分譲・賃貸業を展開する。8%を占めるホテル事業は、横浜駅西口の「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ」の他、宿泊特化型ホテル「相鉄フレッサイン」「ホテルサンルート」などを国内とアジアで展開する。

23年3月期連結決算では、営業収益2496億6700万円(前期比15・2%増)、営業利益は143億4800万円(同258・9%増)と大きく伸びた。神奈川県内のマンション・戸建の分譲や賃貸業が拡大し、コロナ明けでホテル需要が復活したことが業績を押し上げた。直近の24年3月期第1四半期は、安定的な不動産事業を基盤に、低迷していた鉄道は相互直通の開業やバリアフリー料金の収受、需要回復により持ち直しを見せた。ホテル事業は大きく需要回復したことが寄与し、第2四半期及び通期業績予想を上方修正している。

話題になった東急との相互直通運転は現在、1日当たりの利用者数は約8万人。ほぼ想定通りの滑り出しになったという。同社は相鉄新横浜線開業に伴い周辺不動産の開発も進めている。星川~天王町駅間高架下の開発計画「星天qlay(ホシテンクレイ)」では、23年2月に星川駅部の店舗が開業。4月からは天王町駅西側エリアの賃貸物件「ヤドレジ」が入居開始している。

「3~4年後には、相鉄新横浜線の1日利用者数が14万人程まで増えると考えています。今回はあくまでもスタート。直通運転で速達性や利便性を向上させることで、より一層の沿線価値向上を狙っています。今後も多方面へのアクセス向上には積極的に取り組んでいきたい」(滝澤秀之社長) 

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