サンフロンティア不動産 【8934・プライム市場】

前期まで9期連続の増収増益
周辺サービス複合力で独自のオフィスビル再生モデルを構築

サンフロンティア不動産(8934)は、東京都心部の中小型オフィスビルに特化した不動産再生事業を主軸に、売買・賃貸仲介からテナント誘致、ビル管理、滞納賃料保証などの周辺サービスを一気通貫に提供。2020年3月期まで、9期連続の増収増益を更新した。その不動産活用事業のノウハウを活かし、ホテル事業や海外展開に参入するなど、更なる収益事業の拡大を狙っている。
サンフロンティア不動産-齋藤 清一

齋藤 清一(さいとう せいいち)

社長

1960年6月生まれ、福島県出身。1984年、慶応義塾大学商学部卒業。2005年9月に同社に入社後、11月に管理本部長、06年取締役、08年専務取締役、12年取締役副社長・副社長執行役員、14年代表取締役副社長を経て、20年4月代表取締役社長に就任(現任)。

都心5区に尖り、オフィス
ビルをリプランニング

同社は、エリアや物件規模、顧客対象などを絞ったオフィスビルの再生事業を中核に、自社で内製化した周辺サービス機能を持つ総合不動産業を手掛けている。

2020年3月期の連結売上高は前期比37・4%増の732億1800万円、営業利益は同24・6%増の165億7100万円、経常利益は同25・9%増の161億2700万円。

12年以来の9期連続の増収増益を実現した。

大きく『不動産再生事業』『不動産サービス事業』『オペレーション事業』と『その他』に分かれるが、売上、売上総利益ともに約80%を占めているのが不動産再生事業だ。『不動産再生事業』は、「リプランニング事業」「賃貸ビル事業」「ホテル開発事業等」で構成される。主軸は、同社が商標登録も取得している「“リプランニング”事業」だ。東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)内、10階建て程度、平均面積400坪の中小規模の中古オフィスビルを購入し、高収益で高稼働なビルに再生(リノベーション)し、販売する。中心価格帯は10億円で、前期は年間43棟を販売している。

「東京都心部に“尖った”エリア設定をしており、およそ7割の物件はその地域になります。リプランニング事業は約20年間で415棟を扱っていますが、オフィスビルの再生実績はナンバーワンであると自負しています」(齋藤清一社長)

中古ビルの再生販売事業には多くの会社が参入しているが、同社の事業成長の強みはテナントの入居促進力と入居維持力だ。

同社はコアとなるオフィスビル再生に関わる周辺事業を数多く内製化している。『不動産サービス事業』では、都心エリア拠点とする「売買・賃貸仲介事業」、ビルの安定経営をサポートする「プロパティマネジメント事業」や「ビルメンテナンス事業」など。また『オペレーション事業』は、「ホテル運営事業」「貸会議室事業」。『その他事業』は、「滞納賃料保証事業」「海外事業」「建設事業等」があり、多岐にわたる。そうした事業から、地域の賃料相場や空室状況などの不動産情報を収集したり、テナントがオフィスに求めるリアルな声などを把握したりすることで、テナントが入居・活用しやすいオフィスビルの外観からフロア空間の企画、設計から施工、販売後のメンテナンスなどをワンストップで提供でき、他社との差別化戦略となっている。

「ビルの仕入れから販売、開発企画、テナントさんの入居、そして販売後のサポートまでを一貫してやっていく、それを社内で横串で不動産再生事業につなげることで初めて、高い入居促進力と入居維持力を持つことができます。こうした機能を全部持っている会社さんは、ほかにはないと思います」(同氏)

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