白銅 【7637・プライム市場】

高利益率を実現する非鉄金属専門商社
半世紀前からの積極IT投資が結実

白銅は、非鉄金属専門商社の中でも高い利益率が目を引く。同社は、主力のアルミをはじめ、銅、ステンレス、プラスチックなど多様な素材を扱っている。アルミというとサッシや建材に使われると思われがちだが、実は5Gや半導体関連や液晶ディスプレイ、自動車関連や工作機械などに多く使われている。同社は取引先の多くが従業員10人〜100人規模の金属加工事業者で顧客口座数は約1万3000口座を誇る。二次店と言われる街の材料店への販売も売上に寄与している。売上総利益率は約15%。非鉄金属商社の中でも高い利益率を誇る、知られざる優良企業だ。この利益体質はどこから生まれるのか、同社の角田浩司社長に話を聞いた。
白銅-角田 浩司

角田 浩司(つのだ こうじ)

社長

1962年8月15日生まれ、埼玉県出身。86年駒澤大学経済学部卒業後、東京通運入社。廣成(現白銅)に入社。2002年上海白銅精密材料有限公司董事総経理、04年執行役員海外営業部長、10年取締役開発営業本部長、11年取締役常務を経て、12年に代表取締役社長就任(現任)。

高利益体質の専門商社
合言葉は「1枚・1本・1gから」

白銅のビジネスモデルは、従来の商社機能に『切断・加工・配送サービスを組み合わせる』ハイブリッド方法だ。アルミメーカーなどから数万トン単位で原材料を仕入れ、全国のストックヤードに在庫する。それを顧客ごとの細かな要望に合わせて、あらゆる種類の金属素材を希望サイズ・形状に加工し、全国に最短翌日に配送している。

「1枚・1本・1グラムからというのが当社の基本姿勢です。他の大手商社では何トン単位でしか注文を受けないところ、当社は1オーダー平均10〜20キロ。神奈川や九州にある全国5拠点のストックヤードを兼ねた工場でお客様が使う分だけ、きめ細やかなニーズに合わせて加工し、すぐお届けできる点が強みと言えます」(角田浩司社長)

取扱製品は売上の7割を占める標準品(在庫品)と、3割を占める特注品がある。アルコニックス(3036)など非鉄金属商社大手は、この特注品分野が主戦場だが同社は3割程度だ。一方、白銅の個性が発揮されているのが標準品分野。約5300アイテム・7000トンの在庫があり、白銅独自のeコマースシステムである白銅ネットサービスでは、提携会社の商品を含めると2万アイテムのオンライン購入が可能だという。製品には、顧客からのオーダーに合わせ百分の一ミリ単位の加工・調整も可能。問合わせや注文にはネットを中心に電話、FAXですぐに対応し、見積もり件数は1日およそ2万件、成約件数は1日約1万件に上るという。

特注品ビジネスは、規模が大きく取引数は少ないが、標準品ビジネスは、規模の小さな取引が山のようにある。同社のスローガンには「ダントツの品質 ダントツのスピード ダントツのサービス 納得の価格」が掲げられている。実は、納得の価格という点が利益率を上げる重大要素の一つ。顧客のニーズに細やかに対応する代わりに、一つひとつの案件に適正な利益を乗せているのだ。リピーターを増やし、着実に利益を積み上げている。

「コスト管理も徹底しています。例えば、顧客のオーダーに合わせて切断した資材の板などは、無駄が出ないよう端材をまた別の製品に利用するなどしています。資材をどのようにすれば、有効に無駄なく使えるのかをITシステムを活用し、かなり緻密に計算・管理しています」(同氏)

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