ニチコン 【6996・プライム市場】

電子部品「コンデンサ」製造
大手家庭用蓄電システムで国内シェアトップ

ニチコンは、電気を蓄え放電するという重要な役割を持つ電子部品「コンデンサ」や、回路製品の開発・製造・販売を手掛ける世界有数のメーカーだ。コンデンサ技術を活用した部品や蓄電システムで売上を伸ばしており、中でも家庭用蓄電システムは、累計販売台数約9万5000台と国内首位の実績を持っている。21年3月期通期は、コロナ禍や米中対立の影響で減収減益だったが、22年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比24・6%増、営業利益は同2・3倍の増益と回復基調にある。通期売上1300億円、営業利益40億円の期初予想は達成する見込みだ。
ニチコン-吉田 茂雄

吉田 茂雄(よしだ しげお)

社長

1959年9月生まれ。大阪府出身。82年ニチコン入社。2004年電源センター管理部長。2008年東アジア販売統括。09年取締役、執行役員、営業本部長。11年生産本部長。12年ニチコン製箔代表取締役社長。13年代表取締役社長COO就任(現任)。

主力製品は「アルミ」と「フィルム」
車載向けや通信向けに需要が拡大

同社は「電子機器用コンデンサ」「電力・機器用コンデンサおよび応用関連機器」「回路製品」の3つの製品分野がある。国内のほか、北米、欧州、中国、インド、東南アジア等に20の製造・販売及び開発拠点を持っている。

電子機器用コンデンサの売上高は626億4400万円(2021年3月期通期)で、売上全体の53・9%を占めている。そのうち大部分が「アルミ電解コンデンサ」だ。同社の製品は耐熱性と耐振動性能が高く評価されており、過酷な使用環境に対応する車載向けや、高密度実装による小型化やメンテナンスフリーが進む5G通信基地局向けに多く採用されている。

「当社部品はエンジンの起動や安全性能に直結するもの。エンジンルームの120度の熱に耐え、寒冷地でのマイナス40度の寒さに耐えられなければならない。民生用コンデンサとは格段の性能差があります」(吉田茂雄社長)

「電力・機器用コンデンサおよび応用関連機器」では、「フィルムコンデンサ」と研究・医療用加速器電源などの応用機器の製造・販売を展開。EV・HV向けインバータ平滑用フィルムコンデンサはEV(電気自動車)のモーターの動きを制御する“インバータ”に欠かせないキーデバイスだ。同社の製品は高周波特性と対電流性能に優れ、長寿命で安全性が高いことから多くの車種に採用されている。電力・機器用コンデンサおよび応用関連機器部門の売上は159億7600万円(21年3月期)で、売上全体の13・8%を占める。

「『EV・HV向けインバータ平滑用フィルムコンデンサ』はEVとHV(ハイブリッドカー)、PHV(プラグインハイブリッドカー)の普及で世界的に需要が拡大し、日本国内と中国工場で増産体制を構築中。アルミ電解コンデンサの需要も伸びており、両者が追いかけ合いをしているような状況です」(同氏)

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