高齢者人口増加に比例して成長
年間紹介数は年間約12万件
2040年には、年間死亡者数が170万人に達するといわれる日本。先立たれた遺族は、弔うために「葬式」や「仏壇」、「お墓」を用意する。しかし、慣れない出来事にどうすればいいのか―。鎌倉新書は、そんな人の「困りごとを解決する」ウェブサイト運営を主軸としている。
同社は元々、仏教関連書籍や葬儀やお墓事業関連のビジネス誌を発行する出版社だった。2000年から業態転換し、情報サイト事業を開始。現在のネット紹介サービスで成長した。その後2015年に東証マザーズ、東証一部に上場を果たした。
主要サイトは、「いいお墓」、「いい葬儀」、「いい仏壇」の3つ。いずれも、サイトから問い合わせを行ったユーザーに対し、要望に合った加盟事業者を紹介。成約に至れば、提携先から報酬の数%をもらう成果報酬型ビジネスだ。
それぞれの加盟事業者数は、「いいお墓」では石材店・霊園・寺院など984社、「いい葬儀」は葬儀社など約1032社、「いい仏壇」は仏壇店など490社。年間紹介数は3サイトで約12万3000件に上り、うち成約率は約3割となる。
「例えば葬儀事業では、加盟事業者約1000社が利用している約5000斎場が登録されています。日本全国にある斎場数は約1万。当社は、うち半分の斎場を紹介できることになります」(小林史生社長)
同社の2020年1月期実績は、売上高が前期比30%増の32億円、営業利益は同7%増の8億円、当期純利益は同53%増の6億円。サイトごとに売上高をみると、最も大きかったのは成約単価の高い「いいお墓」で、売上比率は全体の5割。「いい葬儀」は同3割、「いい仏壇」は同1割弱と続いた。
エンディング業界は、高齢者人口の増加によって市場は拡大している。現在は関連事業も含めると、市場規模は1兆5000億から1兆8000億円と言われている。
同社が成長した大きな要因は、インターネットを使って葬儀業者や霊園を探す人の増加だ。スマホやPCを使いこなすシニア世代も珍しくなくなり、今後も同社の事業にとって強い追い風になると見ている。
また時代の変化によって、紹介などで葬儀業者を探すのが難しくなっている。地方から都市部に移り住み、親戚付き合いや近所付き合いが希薄になれば、いざ親族が亡くなった際に葬儀を手配するのも簡単ではないからだ。
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