自動車関連製品で
アジア中心に世界展開
同社は1943年、三興線材工業として設立し、国産航空機のエンジンの弁ばね製造を開始。戦後、自動車用の弁ばね納入を始め、コア技術である「伸ばす」「曲げる」という精密塑性加工から生み出される精密機能材料、自動車部品、電子・情報機器、通信機器の製造を行う。本社を置く京都を始めとする国内10拠点のほか、米国、メキシコ、中国、香港、ベトナム、タイなど7カ国で展開している。
同社の2019年3月期の連結売上高は458億1200万円、営業利益は33億8400万円。地域別の売上高の比率は日本は42・5%で、アメリカ9・6%、中国11・1%、フィリピン17・7%、その他19・0%。分野別の構成では、自動車分野が70%、電子情報通信分野が28%とその他となっている。
主力の自動車用の弁ばねは、エンジンの吸排気バルブを閉じるために欠かせないばね。レーシングカーなら1分間で最大1万回転、一般の自動車で最大6000回転といわれるエンジン回転数の吸排気バルブの開閉動作により伸縮を繰り返す。
「過酷な条件に耐える弁ばねは、ばねの中でも一番難しいばねと言われます。弁ばねを製造するメーカーは多いのですが、〝材料から精密加工品までの一貫生産〞というビジネスモデルでご提供しているのは、当社が唯一ではないかと思います」(大谷社長)
現在、国内自動車メーカーで使われる弁ばねの約3割は同社の製品が使われているという。また自動車のシートベルト用ぜんまいばねや、エンジンのスタート時に使われるリングギアなどでも高いシェアがある。特にリングギアは、アイドリングストップシステムが導入された現在、より高い耐久性、静粛性が求められる。
「信号待ちなどでも、停止とスタートを頻繁に繰り返すようになりました。ギアの切り方などを工夫して振動を少なくし、ノイズを抑え、耐久性の向上を工夫しています」(同氏)
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