高周波熱錬 【5976・プライム市場】

IH技術による鋼材製造・加工を展開
高強度・高耐久製品とCO2削減で脚光

高周波熱錬は、IH(誘導加熱)技術を応用し、自動車、建設機械、工作機械とあらゆる産業界に向けた熱処理加工を行っている。また誘導加熱装置の製造販売も手掛ける。IH技術での熱処理は、ガスに比べ大幅にCO2を削減でき省エネになることから社会的な注目が集まっている。2024年3月期には売上高560億円、営業利益40億円を目指す。
高周波熱錬-大宮 克己

大宮 克己(おおみや かつみ)

社長

1960年3月生まれ、神奈川県出身。1983年高周波熱錬入社。2011年IH事業部電機部長。12年取締役。16年常務取締役。20年代表取締役社長。21年代表取締役社長執行役員、安全衛生・環境担当、事業開発本部長(現任)

環境負荷少ないIH加熱技術
受託金属加工や装置生産も

同社は、電気を使って金属そのものを自己発熱させるIH技術を使い、表面焼入などの加工を行っている。このIH技術は、一般家庭に普及しているIHクッキングヒーターと基本的には同じ原理だ。同社はIH技術を使った金属加工と関連製品のみを展開している唯一の上場企業。国内に10社26拠点、米国、メキシコ、中国、韓国、インドネシア、チェコの海外6か国に16拠点を持つ。

主な事業セグメントは「製品事業部関連事業」と「IH事業部関連事業」の2つ。製品事業部関連事業では、鉄道の枕木や橋梁などコンクリート構造物で使用されるPC(プレストレストコンクリート)鋼棒や、自動車のサスペンション向けの高強度ばね用鋼線ITW、地震の揺れなどからコンクリート建物を守る高強度せん断補強筋、建設機械部品の旋回輪、自動車のステアリングのギヤボックス内で使われる中空ラックバーなどを製造・販売している。同事業の21年3月期の売上高は245億3700万円(前期比7・5%減)となっている。

「製造工程の中のIH熱処理は、ガス浸炭(しんたん)とのCO2排出量を比べると、約75%削減できる。またIH熱処理によって高強度な素材が作られることで耐摩耗性・耐久性が大きく向上し、金属製品や建物全体の鋼材量を減らせて省資源になります。マンションなどの建設では、当社の高強度せん断補強筋を使うことで全体の鋼材の約30%を削減でき、環境負荷が少なくなります」(大宮克己社長)

IH事業部関連事業では、熱処理受託加工や、高周波誘導加熱装置と関連機器の製造販売及び保守保全などのサービスを展開している。受託加工では自動車や建設機械、産業機械のパーツの加工を行う。装置は顧客の工場ラインに合わせてオーダーメードで設計、製作する。IH技術で金属加工を扱う会社で、自社製品製造と受託加工、装置の製造販売の3事業を行っているところは世界でも例がない。21年3月期の同事業の売上高は178億9800万円(前期比19・2%減)となっている。

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