工業用ゼラチンから
食品・医療用途へ
新田ゼラチンは、1918年に工業用ゼラチンである「にかわ」の製造販売で創業。もともとは創業者の新田長次郎氏が製革業を始め、ベルトの製造過程で産出される副産物である牛皮の一部を再利用するため、にかわ事業をスタートしたのが始まりだ。
製菓材料として多く使われているゼラチンだが、その用途は時代とともに変化し、同社の主要製品も大きな変遷を遂げている。創業当時はマッチや接着剤用の工業用ゼラチンが主だったが、マッチの衰退後はカメラの写真フィルム用などに用途開発がなされ、フィルム市場の拡大とともに成長した。しかし、90年代後半にはデジタルカメラが台頭し写真需要が衰退。2000年以降フィルム用途に代わる主力となったのが、コンビニ総菜に使われる食用ゼラチンや美容サプリメンント用のコラーゲンペプチドだ。
現在は、食品用途の「フードソリューション」、健康食品用・美容用コラーゲンペプチドやカプセル用ゼラチンの「ヘルスサポート」、医療用ゼラチン・コラーゲンの「バイオメディカル」の3つのコア領域がある。21年3月期の連結売上高は305・5億円、営業利益は13・5億円。事業区分別売上高はフードソリューションが約38%、ヘルスサポートとバイオメディカルが合わせて約46%、写真用ゼラチンなどのスペシャリティーズが16%を占める。
「当社は牛骨や豚の皮、魚の鱗など天然由来の副産物から有用なタンパク質を提供するビジネスを創業以来続けています。最近はゼラチンを分解した機能性素材のコラーゲンペプチドや、ゼラチンでも従来の食品や薬用カプセル用以外に医療用など、用途が広がっています」(尾形浩一社長)
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