グラフィコ 【4930・スタンダード市場】

女性向け生活用品・健康食品等ファブレスメーカー
5年前の上場断念乗り越えジャスダックへ上場

9月24日にジャスダック上場を果たしたグラフィコ(4930・JQ)は、女性をターゲットにした生活用品や化粧品、健康食品を開発・販売。2004年の本格始動以来、増収増益を続けている。同社を率いる長谷川純代社長は、もともと広告デザイナー出身。異業種での経験が商品企画に生かされているという。
グラフィコ-長谷川 純代

長谷川 純代(はせがわ すみよ)

社長

群馬県出身。東京家政大短期学部卒。 モデル活動を経て、96年11月スタジオグラフィコ(現グラフィコ)設立。2004年7月オリジナル商品を開発、現在のビジネスモデルに転換。

ミリオンセラー8アイテム
今期売上高36億円超見込む

同社は「日用雑貨」「化粧品」「健康食品」「医薬品」の5ジャンルで、女性をターゲットにした商品の企画・開発・製造を手掛ける。同社が手掛けた商品は「優月美人 よもぎ温座パッド」1425万個、「オキシクリーン 日本オリジナルタイプ」886万個、「フットメジ 足用角質クリアハーブせっけん」760万個など。生活用品や化粧品は、新商品を発売してもヒット率は0.1%だといわれる。常に1000以上の商品を抱えている大手メーカーに対し、同社は、70アイテムしかなく、100万個売れているは8アイテムにも及ぶ。

「もうすぐミリオンセラーになるアイテムも2つあります。当社の商品はロングセラーが多く、『よもぎ温座パット』は2008年発売で、改良を加えながら12年間継続的に売れています。使用実感が高ければリピーターがつく。そんな商品を作ってきました」。長谷川社長は胸を張る。女性に合わせた商品は巷に多くあるが、たとえば足専用石鹸「フットメジ」は、足は一番汚れる部分なのに、意外と専用商品はなかった。また、ダイエットサプリメント「なかったコトに!」はインパクトあるネーミングが、健康食品という広告費に制約がある中で消費者に浸透させることに成功した。2020年6月期売上高は、34億9900万円、今期は36億5000万円を見込む。「コロナ禍での外出自粛や訪日外国人客の減少で、健康食品や美容品は相当苦戦しました。しかしその分、『オキシクリーン』や消毒用エタノールがマイナスをカバーしてくれました」(同氏)

同社の強みは、「変化や悩みの多い女性のライフスタイルを応援し、自らが消費者として女性ならではの企画・開発が可能なこと」(同氏)。それは社員比率にも表れており、日本企業の女性従業員比率が25・2%なのに対し、同社は57%。このうち子育て中の女性従業員は20%だ。商品開発に携わる企画本部に限れば、実に80%以上を占める。

「開発に当たっては、同時に国内外の協力企業と開発・試作を繰り返し、納得のいく使用実感に高め、最終商品を生み出しています(同氏)。開発から販売までの期間は約2年間で、年間に投入する商品は改良品含めて5〜7アイテムだが、その分、息が長い商品が多い。商品はドラッグストアなどリアル店舗で非販売。ウェブ、テレビ、イベント等を連動させるプロモーションを展開する。「消費者視点で興味や共感を大切に、認知獲得とユーザーを拡大していきます」(同氏)。話題になる商品が多いため、メディアで取り上げられるケースも多く、これがまた話題を呼び、認知度が高まる、という訳だ。ヒット率が高く、より確実に売れ続ける商品を投入し、在庫を極力減らす。上げた利益を次の商品企画に投資する。生産は70カ所にも及ぶ提携会社に委託する。このサイクルによって、同社は無借金経営を続けている。

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