難病の遺伝子疾患に挑む
汎用性の高い独自技術が武器
創薬ベンチャーのモダリスは、遺伝子の働きを切り替える独自の技術を用いて新薬を開発する。人間の疾患は全部で約1万あるといい、その内の約7000が患者数5万人以下の希少疾患と呼ばれる。その中の8割が遺伝子のエラーによって起こるいわゆる「遺伝子疾患」と呼ばれるもので、患者数の少なさなどから開発が見送られ、未だ95%には治療法がない。しかし、同社の技術は、一つの方法で複数種の治療薬を生み出せる高い汎用性を秘めている。
遺伝性疾患に対する治療法は一般に2種類あるとされる。一つ目は不足している遺伝子を「ベクター」と呼ばれる遺伝子の運び屋を使って外から足す治療法。もう一つはエラーが起きている遺伝子を切り取り、正常な遺伝子と置き換える、ゲノム編集という方法だ。モダリスが得意とする「CRISPR─GNDMⓇ(クリスパーGNDM)」はそのゲノム編集技術から派生したものである。
「人体は約37兆個の細胞からできています。しかし、元をたどるとたった一つの受精卵から始まっている。したがって、どの細胞も全く同じDNAの設計図を持っています。にも関わらずなぜ肝臓やら眼やらと細胞ごとに違いが生まれるのかというと、細胞の中のDNAにコードされた遺伝子の前に、オンかオフかが精密に制御されたスイッチのようなものがあります。その入り方で、機能の多様性が生まれます(上図参照)。本来、オンになるべきスイッチがオンでなかったり、オフになる時に誤ってオンになっていた場合に遺伝子疾患が発生する。そこで、我々はそのスイッチを触ってオン・オフを調節し、治療薬を作ります」(森田晴彦社長)
通常のゲノム編集は、ハサミの役割を持つ酵素と切断するものを定める酵素、正常配列のDNAをベクターに入れ、患者に注射。これが異常な遺伝子を切り取り、正常なものと交換することで治療する。
一方、同社の技術はハサミの酵素を改変によってあえて切れなくし、その代わりにスイッチを切り替えるタンパクを連結。遺伝子が出過ぎて生じる病気の場合にはスイッチをオフに、遺伝子が足りなくて起こっている病気の場合にはスイッチをオンにして治療を行う。
ゲノム編集ではガン化のリスクなどがあるがモダリスの技術ではDNAを書き換えないのでこういった懸念がなく、スイッチの操作だけで汎用性も高い。
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