「ディストリビューション」に注目
顧客との情報格差を解消する
同社の事業は「メディア・サービス」と「フィンテック化支援サービス」の2つ。メディア・サービス事業は、ZUU online、FinTech online、DAILYANDSなど、金融に関する自社メディアを運営しており、月間訪問ユーザーは895万人を超える。2019年3月期の売上は4億8900万円(前年同期比45・9%増)と大きく伸びており、中でも大きく成長中なのがZUU onlineだ。
2013年にスタートしたZUUonlineは、一般ユーザー向けに資産運用やライフスタイルに役立つ情報を発信しているポータルサイト。月間に400万人が利用しており、国内の金融系ポータルサイトでは最大級となっている。
ユーザーが無料会員登録をし、ZUU online上のコンテンツを講読すると履歴データが残る。これによってZUU側では、ユーザ―の購買ニーズをタイムリーに把握することができる。これらのデータを元に、企業からの情報をユーザーに直接配信するターゲティング広告や、広告主企業への送客に対する成功報酬がZUU onlineの大きな収入となっている。
冨田和成社長は、以前勤務していた証券会社での体験からこの事業を立ち上げたという。毎日何十件もの見込み顧客に飛び込み営業をしているうち、金融業と顧客の情報の格差の大きさを実感したのがその理由だ。
「金融業では、実際にお金が動く“オペレーション”の部分ではなく、必要とする人に出会って、商品を説明し、買ってもらうための“ディストリビューション”の部分に莫大な時間とお金を費やしている。金融情報を関心ある人に伝える場所があり、そこでニーズが合うお客さんに出会えれば、ディストリビューションのコストは少なくて済む。そう考えて始めたのがZUU onlineです」(冨田和成社長)
2019年3月期からは、限定コンテンツを配信する有料会員サービスもスタートした。同社ではストック収入となる有料会員の獲得を成長投資と位置づけ、有料会員向け記事の充実や、スマホアプリによる有料会員獲得などの施策を強化していく。
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