中越パルプ工業 【3877・プライム市場】

既存のグラフィック紙から成長分野に業態転換
家庭紙参入やCNFで25年度営業利益40億円へ

中越パルプ工業は、新聞・印刷用紙を主力とする総合製紙メーカーだ。紙の使用量は2000年をピークに、少子化・電子化により年々減少している。「紙・パルプ業界は衰退産業と思われがちですが、成長産業へ業態を変えようとしています」と植松久社長は話す。「中期経営計画2025」で軸となるのが、生産体制の再構築。既存の印刷用紙の生産集約を図り、家庭紙への参入やパルプの新用途開発を進める。さらに新素材セルロースナノファイバー(以下:CNF)の実用化も進めながら、安定した収益基盤をつくる。
中越パルプ工業-植松 久

植松 久(うえまつ ひさし)

社長

1956年4月生まれ。大阪府出身。80年東京農工大学農学部林学科卒業、中越パルプ入社。2005年原材料部資材担当部長。10年執行役員経営管理本部副本部長兼管理部長。11年執行役員高岡工場長兼営業本部副本部長。12年上席執行役員。13年取締役経営管理本部長、内部監査室・東京事務所管掌。14年常務取締役。16年専務取締役営業本部長。18年専務取締役社長補佐、営業本部長。20年代表取締役社長就任。

グラフィック紙25年60%へ
需要に見合う生産体制構築

同社は、1947年の創業から一貫して紙中心の事業を営む。国内の紙の生産量では7位にランクインする。2022年3月期の連結業績は、売上高901億400万円、営業利益23億5200万円。セグメント別売上高は、主力の「紙・パルプ製造事業」が約8割となる。

主要製品は、印刷用紙や新聞用紙、包装紙、特殊紙など。紙の売上のうち、7割以上をグラフィック用紙が占める。その他、紙の原料となるパルプや、コンビニなどで使われている紙コップの原紙となる板紙、重袋などのクラフト紙も手掛ける。また国産竹100%を使用した竹紙も、国内製紙メーカーで唯一量産をしている。

現在は情報印刷用紙中心の売上構成だが、21年度からスタートした「中期経営計画2025」では、紙パルプ事業の生産体制の再構築を軸に取り組んでいる。具体的には、20年度に75%を占めていた紙に占めるグラフィック用紙比率を、25年度に60%まで低減する。

背景にあるのは、紙・板紙の需要構造の変化だ。

「製紙会社は紙中心で走ってきましたが、紙の使用量が年々減少しています。一方で板紙は堅調に推移しているため、各社板紙にシフトしている。当社としては需要に見合った生産体制を構築しなければならない」(植松久社長)

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン 会員登録 SEARCH