代理購入サービスが好調
クロスボーダーが全収益の4割
BEENOSの2019年度の売上高は252億7600万円で前年度比11・0%増。営業利益は17億700万円で前年度比11・4%増だった。事業はEコマース、インキュベーションに分かれるが、Eコマース事業が売上の9割を占める。同事業には海外ユーザーに代わって商品の代理購入や発送サービスを行う「クロスボーダー」、ブランド品・アパレルの宅配買取を行う「バリューサイクル」、タレント・アニメなどのイベント物販を手掛ける「リテールライセンス」がある。
なかでも営業利益約7億2500万円と、全体の約4割の収益を出しているのがクロスボーダーだ。2012年にリリースされた「Buyee」は、ヤフオク!やアマゾンなど日本のECサイトからデータを取り込み、日本語が読めない海外ユーザーも商品の購入ができるサービスだ。
2008年に立ち上げた海外転送サービス「転送コム」と合わせると、購入可能なECサイトは2220以上。会員数は210万人を超え、86の国と地域への発送実績を誇る。中国・台湾など東アジアからの注文は、全体の4割ほどで特に多い。1月末からは英語・中国語のサイト表記に加え、ロシア語、インドネシア語など新たに6か国語での対応も始めた。
「このサービスは、実際には海外の顧客からの注文をサイト上で受けて、当社が商品を買い付けるという代理購入です。世界でもあまり例がないサービスだと思います」(直井聖太社長)
同社ではその先の出品者とのやり取りも行う。さらに決済・梱包・発送するが、裏側の仕組みは簡単に構築できるものではなく、このオペレーション力こそが同社の強みだという。
「日本のECサイトは海外発行のカードが使えないところが多い。国境をまたいでの決済は、不正が非常に多いからです。我々はたえずそのリスクを監視して潰しこんでいきます。また梱包もバイクのパーツ、仏壇…何が来ても壊れないように、かつ軽くというのが大前提。万が一壊れて保障してもペイできるビジネスモデルであることが重要です」(同氏)
海外ユーザーの手数料は、1注文あたり300円のみ。作業を集約し収益を上げることで実現する価格設定だ。業界最多の発送数などに裏打ちされた信頼感もあり、多くのECサイトがBuyeeを採用する。
2019年度のクロスボーダー事業では、取扱高に当たる流通総額が246億5100万円で前年度比6・6%増。売上高は49億2900万円、前年度比9・4%増で過去最高となった。今後はアジア新興国、ロシアにも積極的に販売し、将来的には流通総額500億円、1000億円を目指す。
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