不況に強い低価格帯に強み
同社は中古住宅を購入し、リフォーム後にエンドユーザーへと販売する、いわゆる「中古住宅メーカー」の草分け的存在だ。物件は、一般の中古住宅流通市場での買取の他、競売で仕入れる。施工は、提携リフォーム業者が担当。改修が完了すると、各物件の近隣不動産仲介会社が販売する。イーグランドは、仕入からリフォーム企画、工事管理などの商品化、販促、アフターサービスなどを物件担当の営業が一気通貫で対応。仕入から販売までの平均期間は約6~7ヵ月となる。
同業他社と比較したイーグランドの特徴は、マンション・戸建共に対応している点だ。取扱物件比率はマンションが7割、戸建が3割。これは、一般の中古住宅流通市場の割合とほぼ同じとなる。
また、メインターゲットが若年ファミリー層など初めて住宅を購入する「一次取得者層」であることも特徴のひとつ。そのため、取扱物件の平均売価は約2000万円と、ローンを組んだときの支払月額が、同立地条件の賃貸物件賃料と比較しても同程度以下の低価格に設定している。低価格物件物件のメリットは、需要が底堅いこと。高価格物件と比べると、景気変動の影響を受けにくい傾向がある。
「当社が取り扱う物件には、最寄り駅から徒歩10分以上の郊外の物件や、人気とは言えない駅・エリアの物件も多くあります。また、築年数も平均26年と比較的古い。他社があまり手掛けない物件や戸建も扱うことで、安定して物件を供給できます」(江口久社長)
中古マンション市場が拡大
前期業績は、売上高は前期比11・5%減の181・8億円、利益は軒並み同2桁減と減収減益。期初から売上が伸び悩んだ他、競合の増加や中古物件価格の高騰、長期化物件の販売価格見直しなどが影響した。
一方で今期第3四半期まででは、横浜と関西における居住用物件の仕入順調などが寄与し、販売件数が前年同期比7・8%増の664件に拡大。売上高は同9・5%となった
他、営業利益は同81・3%増と躍進した。
また、江口社長は市場全体の好況を指摘する。不動産経済研究所によると、2000年頃には10万戸近くあった首都圏の新築マンション販売戸数は、19年には3・1万戸まで減少。一方、同年の中古マンション成約件数は3・8万戸。中古マンション成約件数
は、16年から新築マンション販売戸数を上回っており、今後も中古物件優勢は続くと見られる。
「これまでの傾向をみると、中古再販市場が縮小するのは当面考えづらい。同業他社も増える中、如何に仕入を確保するかが課題ですね」(同氏)
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