丁寧な中古物件紹介に定評
同社売上高の8割強を占めるのは、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「カウカモ」事業だ。
日本にはリクルートホールディングス(6098)が手掛けるSUUMOや、LIFULL(2120)のHOME‘Sといった住宅紹介サイトがあるが、その中でカウカモが強みとするのは「中古売買物件の定性的な情報を丁寧に紹介」する点である。
多くの住宅紹介サイトでは、新築/中古、賃貸/購入などをまとめて掲載。また、物件紹介ページでは価格や築年数、広さなどの定量的な情報のみを扱うことが多い。一方、カウカモは取扱物件を中古・リノベーション物件に厳選。定量情報だけでなく、立地や住環境、間取りなどに関する感性的な説明文を掲載する。
例えばある渋谷区の物件紹介ページでは、最寄り駅や近隣の珈琲店、建物の外観、共用部、工事風景、内装イメージなどを写真と共にストーリー仕立てで紹介。実際に物件を訪れたライターが紹介文を執筆しており、文章量は3500字以上にも及ぶ。
カウカモの閲覧や会員登録は無料。閲覧者に物件売買の仲介を行った場合、買い手と売り手の双方から手数料を受け取る。買い手は30〜40代の独身やDINKS、スモールファミリーが多く、平均物件購入価格は4500万円程度。主に扱うのは都心や人気住宅地の中古マンションで、常時900件以上の物件が掲載される。
2015年から本格始動したカウカモの狙いは、従来的な競争型不動産ビジネスではなく、こだわりを持ちじっくり物件を探したい人向けに、物件を丁寧に紹介する「編集型不動産ビジネス」の確立だ。
現在、カウカモは750社超の住宅再販業者が扱う物件を掲載する。彼らはカウカモ以外の仲介業者にも物件販売を委託しているが、ほとんどの仲介業者は新築物件や築浅物件を大量に扱うため、築年数が長く人気が出にくいリフォーム物件は中々売ってもらえない。また買い手にとっても理想の中古物件を探しきれないなどの難点があった。
「売り手が抱える『せっかくリフォームをしたのに仲介会社が売ってくれない』、買い手が抱える『味のある割安なリフォーム物件を検討したいのに情報が少ない』という双方のペインを解決することが、カウカモの原点です」(村上浩輝社長)
有料会員限定
続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。