データを活用した店づくりで
営業利益率は前期10・1%
昨今の原材料高騰やインフレなどで、長らく低価格を堅持してきた100円ショップ業界でも高価格帯商品の導入が増えている。大手4社中3社が値上げ商品拡充に力を入れる一方、業界2位のセリアは唯一「全商品100円」を堅持。100円に拘り続けることが可能な理由の一つは、その利益率の高さにある。
同社の2022年3月期営業利益率は10・1%。業界1位の大創産業は非公開だが、3位キャンドゥの1・3%、4位ワッツの3・3%と比較すると突出した数字になっている。背景にあるのが、04年に導入したPOSシステムだ。収集したデータをもとに、AIが自動的に店舗ごとの売れ筋商品・発注数を算出する。システム構築を主導した河合映治社長は、もともと銀行の出身。前職でも貸出債権業務のシステム化を行っており、統計学に精通している。
「100円ショップは在庫リスクが一番怖いですが、システムによりその問題をカバーできます。売れない商品が棚に留まっていると、魅力のない店になってしまう。商品一点一点の動きを見ることで、他にない品揃えに変わります。店舗ごとの売れ筋が絶え間なく納入され、売れても継続的に魅力的な商品が陳列される仕組みができました」(河合映治社長)
同社では、商品開発や生産数の決定にもデータを活用。製品力を高めた他、在庫を抱えない適切な数の生産が可能になり、同社とメーカー双方の利益率を高めた。
「業界は、どこかが淘汰されるまで戦いが続く局面に入っている。当社はシステムによって他社に利益面で差をつけることができました。昨今の情勢で値上げ要請は当然来ており、今期は粗利が1%低下、販管費が1%増えるため、利益率2%低下を見込んでいます。しかし最低限の目標は営業利益率5%としており、まだ3%分の余裕がある。今後も全品100円で勝負していきます」(同氏)
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