テンポスホールディングス 【2751・スタンダード市場】

中古厨房機器販売が主力
情報サービス事業で飲食店支援

祖業の中古厨房機器販売から、現在は飲食店経営の支援事業にまで業域を拡大しているテンポスホールディングス。コロナ禍で飲食業界が打撃を受ける中、同社への影響も大きく、2021年4月期通期実績は、売上高が前期比7.4%減の270億1400万円、営業利益同42.9%減の9億8200万円と減収減益となった。一方、中核企業のテンポスバスターズ単体では、売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。
テンポスホールディングス-森下 篤史

森下 篤史(もりした あつし)

社長

1947年生まれ、静岡県出身。静岡大学教育学部卒業後、大手レジスター会社に就職し、トップセールスの実績を持つ。1983年、共同精工(現キョウドウ)を設立。その後、1997年、中古厨房機器販売の「テンポスバスターズ」を設立。2002年12月にジャスダック市場に株式上場。

コロナ前より進めた営業改革奏功
主力の物販事業が増収増益に

同社の事業セグメントは、厨房機器リサイクル事業のテンポスバスターズを中心とした物販事業、ステーキのあさくま等の飲食事業、飲食店を支援する情報・サービス事業の3つ。

主力企業のテンポスバスターズは、全国に60店舗展開し、厨房機器や調理道具、食器などを販売。取扱商品の50%は中古品で、売上は新品75%、中古品25%となっている。

同事業の2021年4月期通期実績は、売上高134億8700万円(前年同期比8・7%増)、営業利益17億400万円(同44・1%増)。コロナ禍でも中小企業向けの厨房機器販売が好調に推移、巣ごもり需要で大手スーパーマーケットへの機器販売も底固く、グループ全体の業績を下支えした。

もっとも来店客数は前年と比べて減少したという。にもかかわらず増収増益を実現した要因は、1年半ほど前から進めてきた営業改革にある。

「実は新型コロナウイルスに関係なく、来店客数は5年程前から頭打ちとなっていました。これまではお客様が直接来店して商品を購入するスーパーのような形態だったため、特に接客をする必要があまりありませんでした。そこを積極的にお客様にお声掛けするようにし、飲食店の支援サービスをご案内するようにしていたのです」(森下篤史社長)

付帯サービスへ誘導させるよう森下社長は、接客における営業スキル向上に努めた。リモートによる研修をスタートさせたのだ。

ほぼ全ての社員が、毎週5時間程度、年間で240~280時間の研修を受講。本部で作成された研修資料は、実際に店舗での接客トークに使われ、来店客の反応をすぐにフィードバックし、毎日ブラッシュアップさせた。

これにより来店客と話す時間が増加。近年力を入れている情報・サービス事業のひとつ「Dr.テンポス」の周知を成功させたのだった。

「サービスの一環として新店オープンのお客様に、7ページまで無料のHP作成、無料開店ポスター、事業計画書作成無料相談などを積極的に行ってきました。すると、当初来店客4万5000人のうち利用客は約300人だったものが、今では利用者が年間6500人に増加したという。「相乗効果で物販も伸び、結果客単価が上がったのです」(同氏)

「Dr.テンポス」とは、グループ7社が診断医・主治医の役割を担い、飲食店経営を総合的に支援するサービスだ。経営状況により「プロデュース」、「専門医治療」、「安楽死」の3つのコースを提供しており、例えば「安楽死コース」では、店舗の譲渡、業態変更、株式・事業譲渡、閉店、独立などを提案している。「無理に経営を続けるよりも、いっそのこと閉店する方が良い場合もある、こう判断した場合はスムースに閉店できるように様々な面でサポートしていきます」(同氏)

閉店に伴うサポートは、独自の専門職「ドクター」が行う。同社は「ドクター」育成のために、2018年から週5時間の研修を行っており、2021年4月現在、パート含めたスタッフ約260名が参加。この閉店コースは、同年1月にスタートしているが、同6月末までで60件以上の依頼があったという。

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