コロナ前より進めた営業改革奏功
主力の物販事業が増収増益に
同社の事業セグメントは、厨房機器リサイクル事業のテンポスバスターズを中心とした物販事業、ステーキのあさくま等の飲食事業、飲食店を支援する情報・サービス事業の3つ。
主力企業のテンポスバスターズは、全国に60店舗展開し、厨房機器や調理道具、食器などを販売。取扱商品の50%は中古品で、売上は新品75%、中古品25%となっている。
同事業の2021年4月期通期実績は、売上高134億8700万円(前年同期比8・7%増)、営業利益17億400万円(同44・1%増)。コロナ禍でも中小企業向けの厨房機器販売が好調に推移、巣ごもり需要で大手スーパーマーケットへの機器販売も底固く、グループ全体の業績を下支えした。
もっとも来店客数は前年と比べて減少したという。にもかかわらず増収増益を実現した要因は、1年半ほど前から進めてきた営業改革にある。
「実は新型コロナウイルスに関係なく、来店客数は5年程前から頭打ちとなっていました。これまではお客様が直接来店して商品を購入するスーパーのような形態だったため、特に接客をする必要があまりありませんでした。そこを積極的にお客様にお声掛けするようにし、飲食店の支援サービスをご案内するようにしていたのです」(森下篤史社長)
付帯サービスへ誘導させるよう森下社長は、接客における営業スキル向上に努めた。リモートによる研修をスタートさせたのだ。
ほぼ全ての社員が、毎週5時間程度、年間で240~280時間の研修を受講。本部で作成された研修資料は、実際に店舗での接客トークに使われ、来店客の反応をすぐにフィードバックし、毎日ブラッシュアップさせた。
これにより来店客と話す時間が増加。近年力を入れている情報・サービス事業のひとつ「Dr.テンポス」の周知を成功させたのだった。
「サービスの一環として新店オープンのお客様に、7ページまで無料のHP作成、無料開店ポスター、事業計画書作成無料相談などを積極的に行ってきました。すると、当初来店客4万5000人のうち利用客は約300人だったものが、今では利用者が年間6500人に増加したという。「相乗効果で物販も伸び、結果客単価が上がったのです」(同氏)
「Dr.テンポス」とは、グループ7社が診断医・主治医の役割を担い、飲食店経営を総合的に支援するサービスだ。経営状況により「プロデュース」、「専門医治療」、「安楽死」の3つのコースを提供しており、例えば「安楽死コース」では、店舗の譲渡、業態変更、株式・事業譲渡、閉店、独立などを提案している。「無理に経営を続けるよりも、いっそのこと閉店する方が良い場合もある、こう判断した場合はスムースに閉店できるように様々な面でサポートしていきます」(同氏)
閉店に伴うサポートは、独自の専門職「ドクター」が行う。同社は「ドクター」育成のために、2018年から週5時間の研修を行っており、2021年4月現在、パート含めたスタッフ約260名が参加。この閉店コースは、同年1月にスタートしているが、同6月末までで60件以上の依頼があったという。
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