前期は主要顧客方向転換で減収
今期テーマは「コロナ前に戻す1年」
ファームウエアとは、デジタルカメラの画像認識といった家電製品や、パソコン、周辺機器、携帯電話など、コンピュータシステムが入った電子機器本体にあらかじめ組み込み、独自の機能を発揮させるためのソフトウエア。高い技術力が必要になるが、同社は独立系企業として様々なジャンルの企業から受注を獲得してきた。
得意分野から事業領域も年々拡大、「コンシューマ向け製品はもちろん、ウェブ、医療、自動車関連など幅広い分野の企業のニーズに対応し、ソフトウエア開発だけでなく、ハードウエア開発、マニュアル制作、品質評価、自動運転技術、IoT、AIに至るまで技術の提供領域を広げています」(同氏)
セグメント別でみると、現在はファームウエア開発が16%に過ぎず、アプリケーション開発29%、システム開発27%、品質評価10%、その他18%となっている。
21年2月期は、コロナ禍による社内、外部環境の変化により、売上高が減少した。このマイナスを埋めるための新規顧客開発や、テレワークによる継続的な経費削減などに努めたが、営業利益、経常利益ともに減少した。
同社はもともと、キヤノングループ製品のファームウエアの開発受注からスタート。その後富士通、ソニーなどの機器メーカーなどに拡大させた。とはいえ19年2月期では、主要顧客別で39%をキヤノングループが占め、大きな顧客となっていた。
潮目が大きく変わったのが昨年。上期にキヤノングループの方針転換により大きな影響を受けてしまった。技術者の配置転換にも頭を悩ませることとなった。
このため同社は下方修正を強いられてしまった。しかし下期に入り、他社からの受託増加により売上での回復と人員配置の適正化も進めることができたという。
結果、主要顧客別売上構成比でキヤノングループは前年度から半分以下の13.4%へ減少したが、かわってソニーグループが同20%から28・5%とトップに、富士通グループが同10.7%から12.4%、リクルートグループ4.4%へ、トヨタグループが3.5%へと比率、売上とも顔ぶれが大きく変わることとなった。
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