日本M&Aセンター 【2127・プライム市場】

廃業の危機に瀕する中小企業をM&Aで救済創業
30年で時価総額6000億円の企業に成長

M&Aは日本経済の救世主となるか─。平成の「失われた30年」からの脱却を期す令和新時代。だが、今後一気に課題が急拡大しそうなのが、後継者難による中小企業の存続問題だ。今号では「新春特別インタビュー」としてM&Aコンサルタントの最大手企業、日本M&Aセンターの分林保弘会長に話を聞いた。廃業の危機に瀕する中小企業の支援で急成長を遂げている同社のビジネスモデルを解説。また、M&Aが今後の日本経済で果たす役割について語ってもらった。
日本M&Aセンター-分林 保弘

分林 保弘(わけばやし やすひろ)

会長

1943年8月、京都府出身。1966年、立命館大学経営学部卒業後、日本オリベッティに入社。1991年、日本M&Aセンターを設立、翌年代表取締役社長に就任。2008年、代表取締役会長に就任(現任)。父は観世流能楽師、母は裏千家茶道教授の家庭で、自身は3歳で能の初舞台を踏む。

後継者不在・労働者不足・売上減
25年までに約3割の中小企業が廃業リスク

中小企業庁によると、日本の全企業、約420万社に占める中小企業の割合は99・7%にも及び、日本経済を牽引してきた。しかし近年、後継者不在や人材不足など様々な要因から廃業に追い込まれる中小企業が増えている。この先1年で廃業するリスクが高い企業は31万社あるという。

─中小企業の廃業が大きな社会問題になっています。2025年までに3社に1社、127万社が廃業危機を迎えるとも言われています。中小企業に何が起きているのでしょう。

分林保弘会長(以下、分林)当社は2020年が30期目に当たりますが、ちょうど30年前は中小企業の75%は息子さん、娘さんが後継者になっていました。ところが最近は子供が事業承継をする確率は26%に下がっています。

─30年前に比べたら3分の1ですね。

分林 今は中小企業の75%近くが実子以外が継ぐ時代です。では専務・常務といった社員
がすぐに引き継げるかというと難しい。資本金1000万円、3000万円で作った会社も
30年も経てば、株価が数億円から場合によっては数十億円にも跳ね上がる。この株を一社員が時価で買い取ることはなかなかできないのが現状です。一方で経営者の平均年齢は、この23年間で47歳から69歳に上昇し、決断を迫られる企業が増えています。

─担保はないし、日本にはまだ個人保証の制度もあります。

分林 それに人口減の問題もあります。日本の人口は約1億3000万人近くまで増えましたが、2100年の推計では5900万人と半分以下になる。当然、企業の商圏も2割、3割とどんどん減少しますが、普通の企業でいうと売上が3割減ると損益分岐点を割ってしまう。そうすると今度は中小企業で雇用ができなくなる。極端に言えば人手不足で労務倒産になります。

─今の中小企業は後継者もいない、売上が減る、雇用できない、この三重苦を負っています。

分林 物を作れば売れる、仕入れれば売れるという時代と違って、これからは成長戦略のない中小企業の経営は難しい。私はこうした廃業の危機に瀕する中小企業をM&Aで救済していきたいと思っています。

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